燗の美穂
「ちゃんと話せば3時間はかかる!」最初の質問に返ってきた言葉がこれで取材スタート。
いつもの笑顔で話されながら、ときには掲載できないような内容も。
最後にお店の方に「泣ける文章にしてな!」と言われたので「はい!」と返事すると、 美穂さんから「それにはあと4時間は話さないと・・・」。
飲みに行ったらまだまだここに載ってないお話が聞けそうです。
日替わりの付け出し3品 | 広島梶谷農園の野菜サラダパルミジャーノがけ |
お料理(飲食店)を始めようと思ったそのきっかけは?
飲食店で働いた経験から、もっとしっかり料理を勉強したい気持ちがずっとあって
広島から大阪の食文化を学ぼうと思って辻調理師専門学校に行くことに。
辻調を選んだのはアルバイト制度で寮に入れるから。実は家を出たかったんです(笑)
辻調を卒業したあと、一旦広島に戻って飲食店で就職したんだけど、大阪で知り合った店主さんから新店のスタッフとしてどうか?って声がかかった。
この店主さんから色々と影響を受けたっていうのもあって、大阪に戻ろうと決意。でもそこで料理人は自分には無理だと挫折して・・・一回他の職種に転職したんです。
でもやっぱり飲食だ!と思って再度この業界に。そこからは料理よりも接客を頑張ろうと思って、知り合いの店などでアルバイトを掛け持ちをしてました。
山中酒の店在職中エピソード
Q. 山中酒の店を知ったのは?
アルバイトをしていたお蕎麦屋さんが山中酒の店から仕入をしていてそこで知りました。
そこから、あれはたしか奥播磨さんの蔵見学に行ったとき。今かむなびをしている伊戸川さんにお会いして、誘われて山中酒の店で働くことに。
さらに働いていると伊戸川さんから「うちに専念したら?」って言われたから、掛け持ちを無くして山中をメインにすることにしたんです。
Q. 日本酒にはまった理由は?
それまでにも日本酒を飲んでいたけど、山中酒の店でアルバイトをしだして、日本酒ってこんなに種類があるのか!って知りました。
さらに日本酒のサービスを通して、やれることが増えていって、イベントをすることもどんどん楽しくなっていって、自分の長所がわかるようになっていったんです。
そうしたら自分の存在意義みたいな、やりがいをほんとに感じてきて、日本酒がよりいいなと思えたし、好きになりましたね。
Q. なぜ入社を決められましたか?
これもエピソードがあって・・・
実は私、自分で「社員になります」って言ってないんですよ!そのときの店長の伊戸川さんがまゆのあなの店長になることで抜けて、その後入った
若い子も辞めて、じゃあどうするってことで山中社長が料理をすることに。
私もアルバイトながら社長がやるなら私もしっかりサポートしよう!って意気込んで朝の仕入れにも付き添うようになって。そうこうしているうちに社長がカウンターに座るようになり、少しずつ来なくなって・・・
で、そのときにもらった名刺に「店長」と。「えぇー!?」ってなりました(笑)
Q. 修行期間はどれくらい
6年半くらい。
本当に色々な経験をさせてもらったし、あの時間が無かったら今自分でお店を出来てないですね。
Q. 修行時代の苦労したこと。良かったこと
苦労したのはまゆのあなの店長をしていた時。
まず今までやったことない規模の大きさのお店を上手く回すことが大変でした。
従業員さんの人手の確保からもう難しくて・・・辛くてほんとに病んでました・・・(笑)
でもこのときに50人のお客様をもてなす経験があったから、今のお店でお客様がたくさん来ても「いけるな」って思えるんです。
Q. 山中酒の店で働いて、良かったと思えることは?
食材や調味料を教えてもらったことです。例えば村さんの魚や、清水さんのお米は今でもずっと使ってますし、調味料も砂糖を使わない料理、醤油や味醂、料理酒も良いものを使うことを学びました。
山中でお酒を味わうようになって、料理の味付けがすごい気になるようになりました。今まで甘辛い広島味に慣れてましたけど、薄味が美味しいと思うようになりましたし、化学調味料にもすごく敏感になった。これは全て社長の料理のおかげ。社長の料理の味付けの感性はすごい。尊敬してます。
Q. そんな経験があったからまゆのあなの立ち上げを任されたんですか?
まゆのあなは元々僕達がやるはずじゃなかったんです。
だから外部からの意見としてけっこう無茶な提案もしたりしてたんですが・・・
突如僕達2人が任されることになって、いざやってみると時間が無いし、人もいないしで大変でした。
かむなびを設計していただいた建築士の小笠原さんもまだその時は大きな規模の居酒屋を本格的に設計するのも初めてでしたし、急ピッチで作ったのもあって、やってみると不備も多くて。
魚焼いたら煙まみれとかクーラー効かないとか。
でも「まゆのあな」は大箱だし、山中にとっても初めて酒屋の近く以外のアウェーでやるっていうのもあって、大きな一歩、変革だったと思うし、それに関われたのは良かったですね。
「燗の美穂」について
Q. お店の名前の由来は?
かむなびの伊戸川さんに相談を持ちかけたら、みんなで考えてくれて、
伊戸川さんが居眠りしているなと思ったら、パッと起きて「燗の美穂はどう?」って。そのまま決まりました。
Q. この場所に決められた理由は?
カウンターだけのお店をやろうとしていて、不動産屋さんにすすめられたから。元々喫茶店でカウンターだけのお店だったので、これはいいなと思って。
Q. なぜ「お燗」でいこうと思ったんですか?
自分の経験から冷ではこれ以上飲めない、けどお燗酒ならスルッと飲めたのもあって、
なんのストレスも無く、お燗を頼めるお店があったらいいなと自分で思ったから。
お燗を頼むのってちょっと抵抗があったりするし、これはお燗はダメだとか、
お燗で飲まないといけないっていうのじゃなく、堅苦しくなく、
気軽にお燗を楽しんでもらえたらなぁっていう想いでやりました。
Q. お料理についてのこだわり
素材命!私は自分では料理の腕が無いと思ってるので、料理人としてというよりも、
生産者さんの顔の見える食材をそのままお客さんにつなげることを心がけています。
Q. 大切にしていることは何ですか?
お店をここにした理由にもありますが、カウンターだけのお店なので、食べて、飲んでる人の顔がすぐ見れる。人と人とが近くに感じれることを大事にしています。
Q. 最後にお客様に伝えたいことお願いします
決してお燗を飲まないといけないってことは無くて、一番は楽しくお酒を飲んで下さい。
あとは人と人とが繋がって、いつか菅野美穂さんが来てくれることを待ってます!そこまでは頑張って営業しま~す。
お店の基本情報
開店日 | 2010年8月8日 |
営業時間 | 月~土 17:00~24:00(LO22:30) 日・祝 15:00~22:00(LO21:00) |
定休日 | 水曜日・第三木曜日 |
座席数 | 15席(カウンターのみ) |
客単価 | 5,000円くらい |
コース料金 | なし |
一品 | 500円~(100ml) 常時 30種 |
地酒 | 350円~(120ml) | 日本酒 常時25種類くらい |
その他 | 〇予約|要(断るのが申し訳ないので!) 〇駐車場|無 〇喫煙|不可(外に灰皿はあり) 〇クレジットカード使用|不可 |
住所 | 大阪市中央区安堂寺町2-2-14 【googlemapはこちら】 |
最寄駅 | 大阪市営地下鉄「長堀橋」駅 2-A出口 徒歩5分 大阪市営地下鉄「堺筋本町」駅 11番出口 徒歩5分 |
TEL | 06-7222-2510 |
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