日本酒を呑み解く 第2杯「日本酒におけるボディー感」
こんにちは。
梅田のさかふねバルチカ03店で主に日本酒のラインナップを担当しておりますジャパです。
ジャパの独自視点で日本酒を紐解いていく「日本酒を呑み解く」第2杯のテーマは
『日本酒におけるボディー感』
です。
ワインの業界で広く根付いている「ボディー」と言う言葉。日本酒においてはあまり定着していないため、若干違和感のある言葉の並びかもしれませんね。
ただ、私自身が営業中お客様の好みのお酒を選ぶ時、カウンセリングで大切にしている考え方のひとつがこの「ボディー」です。
「ボディー感」、簡単に説明するならば、お酒を飲んだ時に口の中で感じる「お酒の重さ」と考えています。
無理矢理に日本語に訳すなら「飲み応えの強弱」ですかね?
何かいい表現をご存知の方がいらっしゃいましたら是非教えてください🙇🏻
味わいの段階は、大きく「ライト」「ミディアム」「フル」の3段階に分かれます。
この3段階の階層は人それぞれ感じ方でブレが生じる部分も有ります。これまで飲んできたお酒の傾向だったり、その日の体のコンディション、どんなお料理と合わせているかなどなど、実は人間の舌って外部要因でかなりブレやすい曖昧な感覚器官でもありまして…。
私が実際に営業中のカウンセリングで伺う際は、この「ボディー感」を主軸に、「甘口か辛口か」や「香り要素」、「酸の強弱」などの要素を考慮してオススメを選ばせていただくことが多いです。
私自身の解釈の中では、このボディー感に影響を与えるのは、主に3つの要素があると思っています。
それは、「糖度」「アミノ酸度」「香気成分」です。
まず「糖度」です。
第1杯で触れました、「甘口」「辛口」の要素ですね。現時点では、結局はこの要素が与える影響が1番大きいと感じています。
「辛口」なら「ライト」ボディーに寄りますし、「甘口」なら「フル」ボディーに寄ります。
これは、味蕾(舌の味覚を感じ取る器官)でお酒を味わう際に、糖度が高いと甘味という情報を多く受け取るため「重く」、逆に低いと受け取る情報が少ないため「軽く」感じる、のではないかと考えています。
単純に「水」と「砂糖水」で飲み比べてみることを想像すると、より直感的に理解できるかもしれません。
次に、「アミノ酸度」です。
この「アミノ酸度」ですが、日本酒に含まれる「旨味成分」を数値化した指標で、日本酒フリークの方の中には、結構チェックしていらっしゃる方も多いかもしれません。
これも前述しました「糖度」と同じように、味蕾で感じることのできる「旨味」の情報量の多少で、アミノ酸度が高ければ「フル」、低ければ「ライト」に感じやすい傾向があります。
ただ、この要素に関しては、糖度ほど含有値の振れ幅が狭く、ボディーの感じ方に与える影響は前者に比べて少ないような印象ですね。
最後に、「香気(香り)成分」です。
「香気成分」と難しい言い方を敢えてしましたが、要は香りの強さですね。
これに関しては、味覚に多大な影響を与える「嗅覚」に起因するもので、香りが落ち着いているものはスッキリとキレの良い印象に、逆に香りがしっかりしているものは甘味や旨味に少なくない影響を与え、余韻の伸びやかな味わいを演出しボディー感を支えます。
このような要素を主軸に、さまざまな要素が折り重なり日本酒の「ボディー感」は構成されるので、味わいの全体感をイメージをしやすい考え方だな、と個人的には思うところです。
要は、要素ごとに分解して毎度お客様から聞くより、まずマクロ的なボディー感について聞きつつ、よりミクロな要素にポイントを絞ってスマートなカウンセリングに繋げるわけですね。
このブログ書きながら、自分って結構いろいろ考えながらお酒選んでるんかもなー、とか思いました笑
今ではかなり潜在領域で処理している内容なので、改めて文章に起こしてみるのって面白いですね〜。
そんな日本酒の『ボディー感』の話、皆様の参考になれば幸いです。
また、今日の内容はあまり一般的な日本酒の解釈ではなく、ジャパ独自の日本酒に対する解釈や見解が多分なので、ここだけの話として参考程度にしていただければ…。
ただ、日本酒の味わいの表現方法については、もっとバリエーションが増えればなーとも思っているので、ワインに限らず、様々な分野の独自の表現方法があれば、積極的に輸入していきたい気持ちはあります。
もし、皆様も良い表現方法で、日本酒にも使えるんじゃないか?みたいなものありましたら教えてください。
それでは!
P.S.
本文長くなりましたが、今日のお酒の紹介です🍶
『睡龍 涼 H29(2017)BY』
奈良県の久保本家さんが造る「睡龍」ブランドの低アルのお酒です。
今回の話を踏まえるなら、「フルボディー」にカテゴライズされるお酒ですね。
「糖度」については久保本家さんのお酒なので高くはありませんが、「旨味」「香り」についてはかなりマシマシなお酒です。
本編ではあえて触れませんでしたが、「アルコール度数」もボディー感に影響を与えるひとつとして考えられるかと思います。
ただし、このお酒に関しては14度と日本酒の中では低アルの設計ながら、濃厚で熟感がしっかりした味わいで、言われなければ低アルとは気づかない程の飲み応えがあります。
一言、えぐいっす笑
燗につけて、ブワッと広がる熟香と旨味はまさに「燗映え」を体現。
良いお酒です。
