
お初天神のすぐそばで営むカウンターメインのお店、北龍。
カウンターの中で料理をする店主は寡黙そうに見えて意外と雄弁。
写真のような笑顔で取材にも快く応じていただきました。
しかし包丁を握ると真剣な眼差しで料理に向き合う。
その目が見つめる「北龍」への想いとはいかに。

左:鰆と蓮根の芥子煮
右:鯖のきずし

お酒は常温のものと冷蔵庫にも。
その時々に違うお酒が並びます。
山中酒の店在職中エピソード
Q. 山中酒の店を知ったのは?
アルバイトの求人情報誌から。
面接はうつつよで活躍されている藤井さんにしていただいたのを覚えています。
Q. なぜ入社を決められましたか?
最初は天満店のバイトとして採用されたんですが、確か初日に社長と総店長が店に来られて、お前明日の朝木津市場来るか?と聞かれたので、はいと答えたら、翌日から社員になってました。
なぜ自分が山中酒の店に入ろうと思ったのか。これは偶然の出会いとしか思えないです。
たちのみやまなかという店が僕を呼び寄せたという気さえします。
Q. 修行期間はどれくらい
2008年2月~2014年2月の6年間。
特に天満店での2年は店長としてアルバイトさんと店を運営し、ここで全ての仕事を覚えました。
Q. 修行時代の苦労したこと。良かったこと
配属先は大部分が天満店だったので、あの店で全ての仕事を覚えた気がします。特に最初の2年間、いきなり店を任されたので、寝る間もなく働いていました。職人の世界というのは世間一般の会社組織、いわゆるサラリーマン社会とは全く違いますので、とにかく耐える、自分を抑え、律するということを、数々の修羅場を通じて学びました。その結果、自分で考えて何かをする、自分のしたことが自分に返ってくる、という、責任のある、本当の意味での自分の仕事を手に入れることが出来たんです。
独立するときの話
Q. 独立を決められてからの苦労話や感想
僕は実家の店を継いだ訳ですけど、前の世代の人からスパッと切り替わる訳ではないので、そこのところが一番の苦労だと感じます。つまり内輪の問題で、どちらかというと家族の問題なので、難しいです。母と叔母が、僕にバトンタッチしたら、後は悠々自適の老後を過ごしてくれたらいいけど、そんな夢みたいな話はないですから。叔母には直談判して去年完全に上がってもらいましたが。
Q. 独立ではなく先代のお店を引き継ぐことへの想いは?
建物もそのままに引き継ぐのはレアケース。
正直全部イチから出来る人が羨ましい。自分は先代の店を継いだ訳だから、まずは全てを引き継いで、そこに手を加えたり、修理したりしていかなければならない。その面では自由ではないと感じます。でも、そうして少しずつでも手を加えていって、ここが自分のものだと思えるようになれば、きっと楽しいですよね。
「北龍」について
Q. お店のこだわりをおしえてください
落ち着きのある空間。
BGMは父の蒐集したアーリーJAZZのレコードが音源など、40年以上前のレトロな雰囲気を楽しめます。これは父のレコードをデジタル変換した音源を鳴らしています。
Q. お料理についてのこだわり
天然にこだわり、砂糖やうま味調味料などは使わない。 また器はすべて先代からのもの。昔の器には昔の料理が映えると思う。 この器たちにしっくりくるような、古い料理、古い仕事に、憧れる。
Q. 大切にしていることは何ですか?
普通のことを普通に出来るようになりたい。 オーソドックスなことこそ丁寧に。
Q. 最後にお客様に伝えたいことお願いします
レトロというか、ちょっと勇気のいるような古めかしいお店ですが、女性のお一人様も多く見えますので、気軽に堅苦しくないお店として使ってください。このお初天神東門界隈は、昭和の雰囲気を残した、チェーン店が入り込む余地のない、梅田のオアシスですから、いまの梅田の繁華街にトゥーマッチ感を覚える人には、絶対気に入ってもらえると思います。
お店の基本情報
› 開店日 | 昭和38年9月(僕が引き継いだのは2014年7月~) |
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› 営業時間 | 17:00~23:00 |
› 定休日 | 日・祝 |
› 座席数 | カウンター11席、3名がけテーブル1つ |
› 客単価 | 3,000~4,000円 |
› コース料金 | おまかせコース3,500円 | 生一式セット1,500円(付出・生ビール・生酒・生魚(お造り)のセット) |
› 一品 | 400円~ |
› 地酒 | 350円~(120ml) | 日本酒 常時25種類くらい |
› その他 | 〇予約|不要 〇駐車場|無 〇喫煙|可 〇クレジットカード使用|可 |
› 住所 | 大阪市北区曽根崎2丁目5-37 【googlemapはこちら】 |
› 最寄駅 | 大阪市営地下鉄谷町線「東梅田駅」7番出口 徒歩5分 |
› TEL | 06-6311-5212 |
› HP |
山中酒の店入社のきっかけ
商売は祖母の代から。二代目として父と叔母と母の時代が40年くらい続いて、9年前に父が他界。
自分はそれまで、期間工や教材屋なんかをやっていて、父の居なくなった店を手伝うにも、何も役に立たない。
今、道を決めなけらばならないと、しばらく迷っていましたが、一念発起して飲食業界に入りました。